木質バイオマス

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欧州の「木質・木粉バイオマス」活用の取り組みを詳しく解説

持続可能な社会を目指すSDGsの取組みが欧州各国で進む中、チェコでは12番目の目標「つくる責任・つかう責任」の遅れを取り戻す政策が始まっています。

現在問題となっている、原料リサイクル率を2030年までに改善する案や、プラスチックの代替素材の開発などの環境対策を実施しています。

本記事では、欧州での「木質・木粉バイオマス」活用の取り組みを詳しく解説します。

循環型経済の育成が課題に

wood flour

EU加盟国のチェコでは、2018年よりSDGsで採択された内容をもとにアジェンダの履行や戦略枠組みを行う持続可能な社会創りの取り組みが進められています。

とくにチェコはGDPに占める工業の割合がEUの平均を上回ることから、「ものづくりの国」としての評価が高い国という認識があります。

しかしSDGs17の目標のひとつ「つくる責任・つかう責任」の2021年度開発レポートでは、「重要な課題が残されている」ことから最下位から2番目の低評価を受けています。

リサイクルの現状と目標

2019年度のチェコでの原料リサイクル率はEUの約12%を下回る約8%と厳しく、その理由に近年の経済成長から物資や資源の増大が原因とされています。

なかでもプラスチックの廃棄は急速に増えており、前年の2018年と比較し約31%も増えています。

このため政府は2030年までに「原料のリサイクル比率」を2019年比で倍増する計画を発表しました。

この計画は、世界的な気候変動による環境負荷を減らし、持続可能な社会を目指す取り組みがその理念として掲げられています。

また、基幹産業である工業部門では2017年度のリサイクル率約8%を、2040年までに3倍に増やす目標も発表されました。

プラスチック代替素材を開発

チェコでは、2017年より優れた環境対策を実施する国内企業や団体・個人に対し、SDGz賞を選定する施策が行われています。

2021年度は、環境省・外務省・開発庁による支援のもと、9月に授賞式が開催されました。

このうち、持続可能性と革新性をもつプロジェクトを評価する「ムーンショット賞」に選ばれたレフォーク社が話題に。

レフォーク社は2019年に新設された開発・製造企業のスタートアップで、木質・木粉を原料に用いた代替えプラスチック原料の開発や、これらの原料を使用したフォーク・ナイフの製造を手がけています。

再生可能なプラスチック素材を目指す

同社の製造技術はすでに特許を取得済みで、一般的なプラスチック製造の技術をベースに製造規模を拡大できるメリットがあります。

また、製造工程に水や廃棄物をほぼ排出しない点も環境に優しいと言えるでしょう。

プラスチック原料となる木粉については、木材の加工で発生する「木くず」を利用し天然素材であるポリマーや鉱物を加え製造しています。

現状では木粉とその他の素材の割合比は6:4ですが、3年後に100%木粉使用に変える目標を掲げ開発が進められています。

汎用性拡大による利用の拡大も

開発されている木質プラスチック素材の原料は、硬質プラスチックを使用するカラトリー以外の大半の製品についても代替えが可能と見られており、2021年新たに歯ブラシの製造・販売を開始する予定です。

また同社では木粉素材開発の技術を応用し、欧州域以外で排出される木粉以外の原料(米、クルミの殻・タケノコの廃棄部分など)についても新たな製品開発の素材として利用できる方法の研究が進められています。

これらの技術が実現すれば、世界の国々の廃棄事情に合わせた新たな製品開発・製造が可能になり、持続可能性を高めることが可能になるとともに、国外進出も可能となるでしょう。

国民の環境意識向上も視野に

現状ではSDGsをもとに環境負荷を軽減する対策が求められていることを、約半数の人が「興味がない・知らない」と答えています。

このためレフォーク社では持続可能性を高める素材の開発・製造を行う一方で、技術の革新性やメリットを告知し、国民の環境意識を高める活動も行っています。

国民レベルで意識を高めることで、企業や個人間での環境負荷軽減への活動は、益々活発化する可能性は高いと言えるでしょう。

企業への開示規制化も進んでいる

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EUが2021年4月に発表した「非財務情報開示指令の改正案」は、情報開示の内容について各国の関連機関が調査を行っています。

その一例として、チェコ会社法で大企業に報告が義務付けされている非財務情報は以下の通りです。

  1. 環境保護に関する情報
  2. 企業の社会責任と雇用環境の促進
  3. 人権の尊重
  4. 企業・個人間の贈収賄防止

EUでは一定の条件を満たす企業について、こうしたサスティナビリティに関する情報開示の規制を課す動きが出て来ています。

ただし、一連の開示規制は新たな業務・財務負担を強いることになるため、雇用者機関などから反発の声も挙がっている点は、今後取り組みを行ううえで注意すべき点と言えるでしょう。

まとめ

今回は、本記事では、欧州で始まる「木質・木粉バイオマス」活用の取組みを詳しく解説しました。

ものづくりの国として工業に特化したチェコでは、循環型経済を目指す取り組みが進められている現状をご紹介しました。

木質・木粉バイオマスによるプラスチック代替え素材の開発は、今後汎用性を高めた技術として各国で流通する可能性が高いと言えます。

SDGsで掲げられた目標達成に向けて、各国の取り組みを注視していきましょう。

【参考文献】

「ものづくりの国」、リサイクル促進に動く(チェコ) 」

(参照)

https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2021/1101/6ad8b69d8a427ea2.html

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