持続可能な社会を目指すSDGsでは、15番目の目標「陸の豊かさも守ろう」で森林資源としての間伐材・木粉を活用した取り組みがあることをご存知でしょうか?
一般的に間伐材・木粉は素材としての需要がイメージされますが、実は建築素材としての開発も進んでいます。
本記事では、間伐材・木粉の活用がSDGsの環境改善に繋がる理由をご紹介します。
日本は森林資源が豊富な「森林大国」
![forest](https://gogreen-musuhi.com/wp-content/uploads/2023/11/d3b0078a1651289cdbf85db861e07ced.jpeg)
じつは日本は国土の約2/3とおよそ67%、広さ2.500万ヘクタールほどの森林をもつ「森林大国」なのです。
世界の国々の森林が占める割合は以下のとおりです。
アメリカ33%、カナダ35%、中国21%、、ロシア20%
このように林業が盛んなロシアでも、実際は20%ほどしかありません。
一方天然森林をもつスリナム・ガイアナなどは90%を超えますが、製材向けの用途として木材を育てているわけではありません。
しかし日本の場合、森林全体の約40%が人口林で構成されています。
この広大な人工林には、建材として利用できる杉・ヒノキが生息していますが、これらは戦後の山地政策で植林された木々で、現在製材化に適した時期を迎えています。
間伐材の利用とSDGsの関連性
![thinned,wood](https://gogreen-musuhi.com/wp-content/uploads/2023/11/dorelys-smits-UuX-Le3bfzc-unsplash_11zon-1024x548.jpg)
最近では日本の豊かな森林資源の維持・管理に欠かせない「間伐」が注目されています。
そもそもなぜ間伐は必要なのでしょうか?そのメリットは以下のとおりです。
- 密集した木々を適度に間引きし、バランスよく森林に太陽光が届き生態系を維持する
- 木々の成長段階で多くの太陽光が当たるため、健全な森林環境、循環が生まれる
- 木々を間引くことで、地滑りを防ぐことで森や川から流れる海の水質への悪影響を防ぐ
これらの間伐による環境への取り組みは、SDGsの以下の目標達成に繋がります。
[SDGs項目]
11.住み続けられる街づくりを
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
間伐することで、森の中だけでなく海洋汚染や気候変動などの対策としても有効であることが分かります。
間伐の課題と対策について
間伐は森林の維持・管理を行ううえで欠かせない作業です。しかし林業従事者の高齢化・人手、資金の不足により人工林の間伐材は適切に行われていない現状があります。
間伐せず森林を放置してしまうと、木々の高齢化が進み林業は更に衰退してしまいます。
そこで具体的な対策として、「国産木材、間伐材の利用の拡大」があります。
森林資源の活用を増やすことで、木材の国内持久力を高めることや、間伐材の利用拡大に繋がり林業・製材業を活性化できます。
間伐材活用の特徴について
間伐材を活用するとどのような特徴があるのでしょうか?
具体的なメリット・デメリットをご紹介します。
- メリット
間伐材から加工する材木・木製品は一般的な原木と比べ原価コストを抑えることができ、リーズナブルな価格での流通・販売が可能です。
また、間伐材の利用をさまざまな産業で利用を拡大し、林業・製材業の活性化に繋げることで森林を継続して維持・管理することができます。
つまり間伐材の利用を拡大できれば、消費者、業者、森林の維持すべてのメリットに繋がると言えるでしょう。
- デメリット
間伐材の利用は環境面や経済面で効果の期待できる取り組みである一方で、事前に知っておく必要のあるデメリットもあります。
ひとつめは、間伐材は木が成熟していない状態で伐採するため、幹はほとんどのものが細く集積材としての利用に限定されます。
ふたつめは、間伐材自体の需要・流通量がまだ少なく、利用することを決めても必要量を確保できないケースもあるでしょう。
このように間伐材は一般的な木材と比べ低コスト・低価格で流通できるため需要の拡大が見込める反面、材料のサイズが細いため現在は割り箸・木質ペレットの素材・紙の原料などが主な用途です。
しかし流通量を拡大するためには、今後は建築材・建築素材としての利用が期待されています。
木粉としての素材活用も
間伐材は建築材としてのニーズが期待されている一方で、木粉素材として活用する試みも始まっています。
地方で採れるスギ・ヒノキなどを木粉化し、おもに以下の用途で利用されています。
- ウッドチップ(バイオマス発電・製紙など)
- 木質ペレット(家庭・公共施設のストーブなど)
- 木粉(温泉・浴室施設のボイラーなど)
このほか、異素材であるプラスチックと組み合わせ「バイオプラスチック」に加工する技術もあります。
バイオプラスチックは、木粉から加工できるバイオマス技術を活用した「カーボンフリーな素材」として環境面からも注目を集めています。
間伐材のニーズ拡大のために、木粉素材としての研究・活用も大きく期待されています。
間伐材の可能性を広げる
国内の間伐材の利用拡大は、林業・製材業の活性化や森林保護のために欠かせない要素となっています。
合同会社ELEMUSは、愛知県三河地域で原木・木片を「木粉」に加工し、バイオプラスチックなど海洋プラスチック問題解決に向けた事業を展開しています。
お住まいの地域で採れる原木や木片、間伐材の有効活用をご検討の際は、是非ELEMUSにご相談ください。
まとめ
今回は、間伐材・木粉の活用がSDGsの環境改善に繋がる理由をご紹介しました。
森林大国の日本では、間伐材の流通を拡大することでSDGsの環境改善に繋がることを解説しました。
林業・製材業の課題解決に向けた取り組みを今後も続けて行くことが期待されています。
サスティナブルな社会を目指し、間伐材の活用を広げていきましょう。