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「サスティナブル」から「リジェネラティブ」へ!地球環境を維持するだけじゃなく、どう再生するか?(中編)

前編では、「サスティナブル」(持続可能な開発)と「リジェネラティブ」(再生可能な開発)の違いについて探求しました。

「サスティナブル」は、環境負荷を最小限に抑えながらも、持続可能を追求します。一方で、「リジェネラティブ」は、地球の環境を積極的に修復・回復をすることで、持続可能な未来を目指すことです。

中編では、具体的に「リジェネラティブ」をとりいれた農業や自然生態系の再生について解説していきます。


「リジェネラティブ農業」地球の生態系を再生する新たな手法!

「リジェネラティブ農業」は、地球の生態系を修復し、健全な状態に戻すことを目指す農業手法です。

従来の農業が、土壌や生態系に破壊をもたらすことがあるのに対して、「リジェネラティブ農業」では土や水、植物、動物がお互いに助け合うような環境を作ります。その結果、地球の自然を守りながら、持続可能な農業を行うことができるのです。

1.土壌回復のカギ!【植物】と【生物】の相互関係

土壌の健康を取り戻すためには、植物と土壌の生物との関係が重要です。

植物は、二酸化炭素を吸収して成長し、土壌中の生物は、植物の根からもれでる液体炭素を食料とします。その見返りとして生物が植物に養分を与えるのです。

従来の農業方法では、土壌を耕して化学肥料を与えることが一般的でしたが、これには問題があります。なぜなら、土壌内の有益な生物が減少し、土壌の健康が損なわれるからです。

土をかき回すことで土壌の機能や構造が破壊され、生物の数も減ってしまいます。しかし、土壌内に生物がいると土壌は団粒化し、安定した構造を保ち、通気性や水はけが良くなります。これにより、植物は水や栄養をより効果的に吸収し、健康な状態を維持できます。

また、大量の化学肥料を使うと、植物は土壌内の生物から栄養を得る必要がなくなり、結果として有益な生物が減少し、土壌の健康が損なわれます。

土壌をかき回さず、過剰な化学肥料を与えないことが土壌の健康につながります。植物と土壌生物の相互作用が、土壌を回復させ、持続可能な農業が実現できるのです。


2.【動物】の重要性!地球の生態系における役割と影響

動物は地球上の生態系に欠かせない存在です。特に農地での家畜の飼育は、植物の成長を促進し、炭素の循環を支えます。

動物が植物を食べることで、植物は刺激され、土壌に多くの炭素が送り込まれます。その結果、大気から多くの炭素が吸収され、地中に固定化されます。

歴史的にみて、草食動物が草などを餌としながら移動し、生活していたことはよく知られています。この移動により、土壌がうまく肥沃に保たれ、生態系が豊かで健全な状態を維持することができていました。

また、動物が雑草を食べることで農作物や草地が健康になり、多様性が増します。その結果、虫や鳥は花粉を運び、昆虫が害虫を食べ、ミミズは土を肥やすなどして、生態系が形成されていくのです。

動物が植物を食べることは、地球の生態系にとって極めて重要です。現在の地球環境を回復する手段として、炭素循環や生態系のバランスを支える役割は大きいのです。

「リジェネラティブ農業」は、地球の土壌や生態系を再生する農法です。

植物と生物、動物の関係によって、土壌の健康を回復させることができます。

地球環境の再生への貴重な一歩であり、私たちの食料生産のあり方を根本的に変える可能性を秘めています。

後編は、「リジェネラティブ」に取り組んでいる企業の事業内容について、詳しく説明していきます。

↓後編はこちら

【参考文献】

  1. ゲイブ・ブラウン(2022)「土を育てる」NHK出版

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