日本の取り組み 森林問題

愛知県岡崎市の森が育む漆の未来!「三河漆」の復興と新たな挑戦(後編)

愛知県岡崎市の山に「漆の苗」が植えられました。

かつて日本の三大漆として有名だった「三河漆」の再興を目指し、「岡崎漆プロジェクト」が始動したのです。

この植えた漆の樹液は、地域の重要文化財の保存・修復をするために使われるため、とても重要な役割があります。

また、漆の育成や管理などを「中山間地域」の人たちに協力してもらうことで、「中山間地域が活性化」し、地域の経済的問題の解決への糸口にもなるのです。

しかし、植えた漆は、別の方法で活用する目的もあります。

(写真:漆の苗)

石油に頼らない未来へ!漆を活かした100%植物由来のバイオマスプラスチック

漆の発芽から試験・研究を進める中で、漆の成分がフェノール樹脂と酷似していることが明らかになりました。言い換えれば、漆は「天然のフェノール樹脂」なのです。

合同会社ELEMUSではこの特性を活かして、「漆」を使った石油に依存しない素材で、新たな産業の創出を目指しています。

その素材とは、「漆の樹液」と木材を小麦粉ほどの大きさに粉砕した「木粉」を混ぜて作った、「100%植物由来のバイオマスプラスチック」です。

産業革命以降、安価で使い捨ての製品の需要が増加し、「石油由来のモノづくり」が発展しました。しかし、これが原因で温室効果ガスの排出量が増加し、地球の気候が変動し、環境危機に直面しています。

私たちは、何をすべきでないかを理解し、ライフスタイルを変え、選択するものを変えていく必要があります。

そして企業は、地球環境に配慮し、『環境に優しいモノづくり』、『世代を超えて使えるモノづくり』へと変遷していかなければなりません。

「漆」と「木粉」でできた「100%植物由来のバイオマスプラスチック」は、新たな可能性を切り拓き、100年後の子供たちに引き継げる持続可能なモノづくりのスタートとなります。


(写真:サスティーモ®sustimo)

「漆の木」にたくす環境問題!使い続けられるモノづくりが地球を変える!

漆の木は、約10~15年程で成長し、この成長過程で大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収・固定化します。

「漆の木」1本が、10年間で約200kgの二酸化炭素を吸収するため、地球温暖化の問題に貢献できる、持続可能な環境対策として注目されています。

成長しきった漆の木は伐採し、製品の材料へと活用されます。

そのため、漆の木を植えれば植えるほど、漆を「使えば使うほど」、地球環境に優しい取り組みだと断言できるのです。

漆を量産することは、地球温暖化の対策や、環境負荷を最小限におさえることができます。

「岡崎漆プロジェクト」は、環境への配慮と伝統の尊重を結びつけ、持続可能な産業として、次世代に、美しい自然と伝統を引き継ぐ重要な役割を持っているのです。

【参考文献】

植物資源の新素材 サスティーモ®sustimo「https://elemus.co.jp/products.html」合同会社ELEMUS(参照:2024-1-29)

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