日本の取り組み 森林問題

「大阪府」の森林 現状と課題、そして取り組み

大阪府の森林面積は約56,000ヘクタールで、国内で1番小さいです。北の北摂山、東の生駒山、南東の金剛山、そして南の和泉山によって構成され、大阪平野を取り囲むように位置しています

大阪府の森林は全体の約30%を占めており、そのうち約28,000ヘクタール、つまり49%が人工林です。これは全国平均の46%を上回っています。

大阪府に確認したところ、ホームページの「大阪の森林と林業」は、平成22年12月以降内容が更新されていませんでした。

しかし、「大阪地域森林計画」の中に、近年の森林への取り組み実績が掲載されていました。この計画は、2020年から2030年までの10年間、計画を改定しながら進行しています。この情報をもとに、大阪府の森林の現状についてご紹介します。

(参照:大阪府「大阪の森林と林業」)

大阪府の森林計画の「過去5年間の実績」

大阪府の森林への取り組みとして、過去5年間(平成27年~31年度)の「大阪地域森林計画」の実績は、計画通りに進んでいませんでした。

計画面積に対して、主伐は14%、間伐は50%しか実行されておらず、人工林の造林面積は計画のわずか9%に留まっています。

このように計画が達成されていない理由の一つは、木材価格の低迷により主伐が進まなかったことにあります。その結果として、人工造林も進められなかったのです。

また、林道の開設も実行されておらず、林道の改良もわずか0.5%にとどまっています。その理由は、予算上の制約や実施適期の検討不足にあります。したがって、既設林道を利用した森林施業を実行せざるを得ませんでした。

これらの状況から言えることは、これまでの森林計画が実効性に欠けているということです。主伐が進まず、予算の規制が厳しい中で、計画は楽観的な数値を掲げただけに過ぎないと言わざるを得ません。

しかし、水源のかん養などの公共目的のための指定保安林の災害防備については、特に重視し、計画の143%実行され成果を上げています。

(参照:危険渓流の流木対策事業_大阪府)

大阪府の災害防備と環境対策「森林環境税の活用方法」

大阪府は、特に災害防備への取り組みが成果を上げています。令和2年から今年度の令和6年度までは、森林環境税の約30億円を利用して「森林の土石流・流木対策」を実施しています。これには、九州北部豪雨災害から得た新たな知見が反映され、危険な渓流付近の56箇所を対象に進んでいます。

具体的な取り組みは、以下の通りです。

  1. 山地の荒廃防止のための「治山ダム」の設置
  2. 危険木の除去
  3. 森林整備
  4. 減災対策として、防災教室の開催など

これらの取り組みは、地域の災害リスクを低減するための包括的な取り組みとして位置付けられています。

(参照:危険渓流の流木対策事業_大阪府)

また、森林環境税の15億円は、「自然公園内の危険性の高い歩道、劣化しているトイレ(40箇所)」に使われ、森林管理施設の安全対策として改良や改修のために利用されます。

その他に、「都市緑化を活用した猛暑対策」として約3億円を使用し、地球温暖化による熱中症対策が強化され、大阪万博を迎える際に安全で快適な環境が整えられることが期待されています。

大阪府における森林保全と木材市場拡大の必要性

大阪府の今後の展望としては、木材価格の安定化と市場開拓に取り組む必要があります。木材価格の低迷が主伐の停滞を引き起こしているため、持続可能な木材市場の開拓と価格の安定化が重要です。

地元木材の需要を増加させる政策と、地域木材の価値を上げる必要があります。

また、森林施業に必要な予算の確保がもとめられます。特に林道の開設や改良には大規模な投資が必要ですが、長期的な視点での費用対効果を検討することが重要です。

大阪府は、森林の荒廃が進んでいることで、災害防止のための森林保全を行っています。しかし、間伐などの森林管理や林道の開設が計画どおりにできない現状について、声をあげていくべきです。

平成22年以降、「大阪の森林と林業」で詳細な情報が更新されていない点については、積極的に情報発信をした方が、国民の理解が得られやすいと思います。

実績を毎年公開することで、森林の現状を伝えることが重要です。

地球規模の課題に取り組むために2025年「大阪・関西万博」が開催されます。「SDGs未来都市大阪」を実現し、次の世代へ国を継承する。そのためには、今後の取り組みが実効性を持ち、持続可能な森林管理の確立が求められると考えますが、いかがでしょうか。

【参考文献】

  1. 大阪地域森林計画「https://www.pref.osaka.lg.jp/o120040/midori/midori/g08-keikaku-001.html」大阪府(2024_6_22)
  2. 「森林環境税」を令和5年度まで延長し、豪雨や猛暑から府民を守るための対策を実施します!「https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/20209/ryubokutaisaku.pdf」大阪府(2024_6_22)
  3. 「放置森林対策行動計画」実施報告書「https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/20219/houkokusho.pdf」平成30年3月 大阪府環境農林水産部 みどり推進室 森づくり課 (2024_6_22)

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