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欧州の排ガス規制「ユーロ7」とは?開始の時期や概要を解説

欧州での環境対策では、大気汚染への対策として自動車の排気ガスを新たに規制する「ユーロ7」が実施される見通しです。

ユーロ7は従来の基準と比べ画期的なルールが採用されており、世界的に注目されています。

本記事では、欧州の排ガス規制「ユーロ7」の開始時期や概要を解説します。

欧州の排ガス規制「ユーロ7」とは?

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ユーロ7とは、気候変動対策のひとつとして欧州委員会が定める、車に関する新たな規制です。

おもに車両から排出される汚染物質を削減し、大気の質を改善することや、温室効果ガス削減を目的としています。

2019年に発表された欧州グリーンディールでは、2030年までに「温室効果ガス排出を55%削減する」目標が掲げられており、ユーロ7も目的達成に向けた政策のひとつとなります。

ユーロ7の注目すべきポイント

新たな排ガス規制「ユーロ7」は従来のユーロ6から変更が加えられました。

ここでは注目すべきポイントをご紹介します。

  • 統一規格による基準を採用

従来ユーロ6までの基準では、自動車・トラックなど車種別にそれぞれの排ガス規制が設定されていました。

しかしユーロ7では電気自動車(EV)を含むすべての車両を対象に統一規格による基準を採用することになります。

この変更により、トラックやバスなど大型車両の規制が大幅に厳しく強化されています。

  • 新たな汚染物質も対象に

ユーロ7では、従来対象外とされていた汚染物質N2O(一酸化二窒素)の排出制限が追加されました。

N2Oは、CO2(二酸化炭素)以上に地球温暖化を引き起こす汚染物質と言われています。

このためN2Oはトラック・バスなど大型車両の規制対象となりました。

N2Oの放出量を抑えることで、更なる大気汚染軽減の効果が期待できます。

  • マイクロプラスチックも規制を追加

車のブレーキやタイヤからは粒子状のマイクロプラスチックが排出されます。

ユーロ7では、従来の規制で対象外のマイクロプラスチックも世界で初めて規制基準が導入されることになりました。

  • バッテリー交換の基準も設置

電気自動車に搭載されているバッテリーは、寿命を伸ばすことで交換・消費される資源を節約することに繋がります。

このためユーロ7では、バッテリーの耐久性に関する基準を新設することも決定しています。

  • デジタル技術を活用

ユーロ7では、車の排気ガスなどの排出量を測定する際、専用の測定器を使用するなどデジタル技術を積極的に活用しより正確な測定を実施します。

ユーロ7が生まれた背景について

世界の都市で問題となっている大気汚染の最大の要因は「道路交通による排気ガス」によるものと言われています。

例えば2018年度にEUで排出されたNOxのうち、およそ39%以上は道路交通による車両が排出したものと推定されます。

また、EU28カ国に在住の約7万人がNOxにより早死にする要因となったことも指摘されています。

現在のユーロ6と比べ、ユーロ7では乗用車・バンなどのNOx排出量は35%、バス・トラックからの排出量は56%削減効果が期待できるとEUでは試算されています。

ユーロ7の開始時期は?

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ユーロ7は対象車両別に開始時期が下記の日程で提案されていました。

  • 乗用車・バン→2025年度
  • 大型車→2027年度

しかし新たに提案された基準の修正や、開始までの期間の調整が難しいと自動車業界・EU加盟国の一部から反発が出ていました。

このため開始時期の遅れが生じ、現在第2 次立法から3年後の2028年以降に適用される見通しとなっています。

日本の排出ガス規制について

ユーロ7をはじめとした持続可能な社会に向けた排ガス規制の取り組みは、日本でも実施されています。

ここでは国内で実施される排ガス規制をご紹介します。

都市部での排ガス規制

日本の都市部では大気汚染緩和のためトラック・バス・ディーゼル車を対象とした特別な排出ガス規制を設けています。

この都市部を限定とした排ガス規制は東京都・大阪府・愛知県・大阪府などで適用され、NOx(窒素酸化物)・SPM(粒子状物質)などの排出量を規制しています。

特殊自動車に対する規制も

公道を走行しない工事現場で使用されるショベルカー・ブルドーザーや農作業用のコンバイン、荷物を運ぶフォークリフトなどの特定特殊自動車に対する排ガス規制「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法)」もあります。

これらの特殊車両を使用する場合、一定に基準をクリアした「基準適合表」を所持しなければ使用することができない規制を設けています。

欧州の動向に世界は注目している

ユーロ7は欧州で問題となっている大気汚染や環境破壊の軽減を目指し、従来より厳しい排出基準が設けられました。

また、海洋プラスチック問題などでも取り上げられるマイクロプラスチックの規制など、全く新しい排出規制を設定するなど世界的にも注目されています。

今後は欧州に習い、世界各国でも同様の基準が生まれる可能性が高く、日本も今後の検討事項として取り上げられています。

まとめ

今回は、欧州の排ガス規制「ユーロ7」の開始時期や概要を解説しました。

ユーロ7では大気汚染軽減のための新たな基準、取り組みが検討されていることをご紹介しました。

実施の見通しは2028年以降と遅れが生じていますが、日本でもユーロ7同様の排出規制について検討されています。

EUの持続可能な環境対策を参考に、日本も取り組みを進めていきましょう。

【参考文献】

欧州の排ガス規制「ユーロ 7(Euro 7)」とは?日本における検討状況も解説 「https://earthene.com/media/1561」(参照)

日本にも影響を与えるユーロ7とは?開始の時期や主な変更点について解説「https://eleminist.com/article/3415」(参照)

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