サステナビリティ

SDGs 海外の取り組み

欧州のサスティテナビリティ実現への考え方・取り組み事例を解説

2015年に採択されたSDGsを皮切りに、現在世界各国で取り組みが進んでいます。

中でも欧州の企業や民間レベルでのサスティナビリティ(持続可能性)の理念は世界トップレベルと言えるでしょう。

本記事では欧州のサスティナビリティ実現への考え方や取り組み事例を解説します。

欧州のサスティナビリティ実現への考え方とは?

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持続可能な社会を目指すSDGsが採択される以前から、とりわけ欧州はサスティナビリティへの問題意識が世界的に高い地域として知られています。

欧州のサスティナビリティ実現への考え方とはどのようなものなのでしょうか?

いつくかの特徴をご紹介します。

  • GXの概念を早期に取り組む

従来の石油に依存するエネルギー政策から、脱炭素社会に向けた再生可能なクリーンエネルギーの転換を目指す取り組みをGX(グリーントランスフォーメーション)と呼びます。

日本政府もGXを重点投資分野に掲げていますが、欧州ではグリーンディール政策を始めとした脱炭素化政策を矢継ぎ早に実行し、環境負荷削減の成果を高めています。

  • デカップリングの概念を導入

EUでは経済成長とエネルギー問題を切り離す「デカップリング(切り離す)」の概念が主流になりつつあります。

この概念で重要なポイントとしてアメリカ・中国など石油エネルギー政策中心の国々では「経済発展を実現するためにはカーボンエネルギーが必要」という考え方が主流です。

しかしEUでは「カーボンを削減しても経済成長は実現可能」という石油依存とは真逆の理念に基づいた政策を実行しています。

  • 環境保護と経済成長を両立

世界のSDGs達成度ランキングは欧州、とりわけ北欧諸国がトップ3を独占しています。

2022年度調査では1位フィンランド、2位デンマーク、3位スウェーデンでした。

また、環境保護政策と併せて欧州はGDPでも堅調に推移。

例えば環境先進国ドイツの環境保護政策費は2020年は約800億ユーロと10年間でおよそ50%以上増えていますが、一方GDP(国内総生産)も2020年は約4兆ドルと10年間でおよそ12%増えています。

このように欧州では環境保護政策への予算は大幅に増える一方で、国民の生活水準も堅調に経済成長を実現しています。

従来の化石燃料から脱却し、欧州は環境先進国へとその政策をシフトしている現状が世界的に認識されて来ていると言えるでしょう。

欧州のサスティナビリティへの取り組み

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欧州では環境負荷を低減するためのサスティナビリティへの取り組みが国ごとに行われています。

代表的な国々の事例についてご紹介します。

ドイツの取り組み

ドイツはSDGs達成に向けた政策として電気を再生可能エネルギーにシフトする取り組みを行っており、エネルギー比率は年々上昇傾向にあります。

企業では自動車産業大手、Volkswagenがオール電化車の販売を2030年までに70%にする目標を掲げています。

  • 気候チケットの活用

欧州では移動手段を環境に優しい再生エネルギーで動く鉄道を推奨する活動が盛んです。

2022年には1ヶ月約1,300円で電車乗り放題の「気候チケット」の配布実験を実施。

期間中およそ5,000万人が利用し、180万トンのCO2削減に成功しています。

スウェーデンの取り組み

ゴミ処理の分野で先進的な取り組みを行うスウェーデンでは、リサイクル率99%と環境負荷軽減の効果を高めています。

また、ゴミを焼却し電気を生成する「ゴミ発電」が約52%、リサイクルが47%と無駄のない活用を実践。

生み出された発電は、100万世帯の暖房・25万世帯の電気として利用されています。

  • デポジット制度

スウェーデンのスーパーマーケットでは、便や缶の回収機を設置し、リサイクルとして回収する「デポジット制度」が普及しています。

利用者はリサイクルするとお金やポイントが加算される仕組みで、国民レベルでエコ意識が浸透していると言えるでしょう。

フィンランドの取り組み

世界一幸福な国に選ばれているフィンランドは、欧州一自然が豊かであり、福祉制度が充実した国です。

  • ゼロウェイストレストラン

首都ヘルシンキの「ゼロウェイストレストラン」では、地元の食材を使用し食材の余りを農家も肥料として提供。

ヴィーガン料理を提供する一方で、ゴミをゼロにする取り組みを実践しています。

このように欧州では、国の環境施策と合わせ企業や国民レベルでサステナブルな取り組みを実践しています。

これらの取り組みは、経済成長と併せて「社会の幸福度」「地球の幸福度」を高める活動と言えるでしょう。

まとめ

今回は、欧州のサスティナビリティ実現への考え方や取り組み事例を解説しました。

欧州のサスティナビリティを実現する考え方は、従来の化石燃料中心の「経済成長ありき」の社会から「環境と経済」のあり方を根本的にシフトする理念に基づいていることをご紹介しました。

また、欧州の施策や事例を参考に、日本でも国民レベルで環境意識を高める取り組みを実践していく必要があります。

引き続き、SDGsの目標達成に向けて取り組みを続けていきましょう。

【参考文献】

欧州企業のサステナビリティの考え方はどこからきたのか「https://www.sustainablebrands.jp/sp/news/jp/detail/1210248_2135.html」(参照)
ヨーロッパはSDGsの達成率がなぜ高い?現状と問題点・取り組み具体例を解説「https://earthene.com/media/1567」(参照)
EUが環境問題に熱心な理由は? 背後にある“アメリカへの挑戦状”「https://www.sustainablebrands.jp/sp/news/jp/detail/1210248_2135.html」(参照)

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