環境先進国として知られる欧州では、「カーボンプライシング」制度を採用し成果を上げている事例が増えています。
現在世界でもモデルケースとして注目されている、その仕組みとはどのようなものでしょうか?
本記事では、脱炭素化へ向けたカーボンプライシングの概要や採用事例を解説します。
カーボンプライシングとは?

企業活動で発生するCO2(カーボン・炭素)は持続可能な社会を目指すために抑える必要があります。
カーボンプライシングとは、排出量に合わせた価格を支払うことを義務付ける制度で、「炭素税」「排出量取引」などがあります。
また、カーボンプライシングは欧州をはじめ世界各国で制度の導入が普及していますが、国や制度ごとに特徴や種類が異なるケースが多いでしょう。
カーボンプライシングの種類
- 炭素税
企業が排出する燃料・電気量をもとにCO2排出量を計測し、課税する制度です。
- 排出量取引制度
企業に合わせた排出量の上限を設定し、超過または下回る場合に企業間でCO2排出量の取引を可能にする制度。
- クレジット取引
CO2の削減量を「価値」として証書を発行。また、証書をもとに売買取引が可能な制度です。
この他、「石油・石炭税」などを排出する資源量によって価格を設定する制度もあります。
また、政府が主導する以外に民間企業によるCO2・炭素の価格付けを行い、投資や取引に活用するインターナショナルカーボンプライシングという手法もあります。
世界的に普及するカーボンプライシング
カーボンプライシングにはさまざまな種類、手法があり実施する国や地域ごとに仕組みが異なります。
また、対象となる資源や測る基準についても制度ごとに異なる特徴があります。
欧州で主流な排出量取引制度(ETS)
先進的な取り組みが進む欧州では、2005年より世界に先駆けてカーボンプライシングの施策である「排出量取引(通称 : EU-ETS)が始まりました。
EU-ETSはEU内で扱う国々を増やし、現在EU域内でのCO2年間排出量のおよそ4割を占めています。
アジア各国もETS導入が進む
ETS導入はアジア各国にも波及しています。
- 排出量の大半を占める韓国
韓国版のカーボンプライシング(ETS)は、2015年より制度を整備し始まりました。
その後制度の対象となる企業は600社となり、CO2排出量はおよそ7割を占めています。
- 中国は世界最大の排出国
CO2排出量が世界でもっとも多い中国では、電力事業者を対象としたETS制度を2021年から開始しました。
対象企業は着実に増え、現在は年間排出量のおよそ4割をカバーしており、2025年を目処に製紙・鉄鋼・石油化学関連の企業まで規模を拡大する予定です。
炭素税を実施している国々
欧州では排出量取引制度と併せて炭素税を導入している国々も多い現状があります。
EU域内ではドイツ・イギリス・フランス・フィンランド・スウェーデンなど主要国が実施しています。
しかし、これらの国々でEU-ETSを導入している対象企業は一定の条件をもとに炭素税を課税せず免除する施策を取っています。
また、カナダの一部地域でも炭素税は導入されています。
欧州の新たなカーボンプライシング
持続可能な社会を目指す目的で、世界で普及しつつあるカーボンプライシングですが、世界では気候変動対策に消極的な国もまだまだ多い現状があります。
また、EU ETSを導入した国では、規制の緩いEU域外へ生産を移転・委託するケースや輸入品で賄うケースが増える傾向がありました。
このような逆転現象を「カーボンリーケージ」と呼び、欧州ではリスク回避のため一定の条件で無償枠割当を行う対策も実施して来ました。
欧州発のCBAMは実用段階へ

EU ETSで割り当てされた無償枠割当は、持続可能な社会を目指す上で廃止する必要がありました。
そこでEU ETSに替わるカーボンリーケージとして、CBAMを導入し、2034年以降に無償枠割当を撤廃する予定です。
CBAMは取引を公正に行う
CBAMは、EU域内で定められた商品を輸入する際、生産時み発生した炭素排出量に合わせた炭素価格の支払いを求める制度です。
この制度は、さまざまな炭素規制の環境下で製造された製品に対し、公正な価格競争を促すことが可能になります。
CBAMは2023年から2025年を移行期間とし、2026年1月より本格的に実施される見通しです。
環境政策を推し進めるメリット
カーボンプライシングを実施することで、企業の意識や行動が変わり、実質的にCO2排出量の削減に繋がります。
また、クリーンエネルギーを使用した製品開発を行うことで、企業の付加価値も高まり地球温暖化を防ぐメリットがあります。
カーボンプライシングをきっかけとして、将来的に優れた脱炭素技術の開発も活発化するなど、環境施策を推し進めていきましょう。
まとめ
今回は、脱炭素化へ向けたカーボンライジングの概要や採用事例を解説しました。
欧州を中心に実施されているカーボンプライシングは、持続可能な社会を目指す上で有効な施策であることをご紹介しました。
2030年の欧州グリーンディールに向けた施策を、今後注目していきましょう。
【参考文献】
脱炭素に向けて各国が取り組む「カーボンプライシング」とは?「
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/carbon_pricing.html」(参照)

