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欧州の脱炭素化から「企業価値を高める方法」について解説

近年、「脱炭素化(カーボンニュートラル)」という言葉をニュースやSNSでよく目にするようになりました。

しかし、実際の企業にどのようなメリットがあるのか分からないという方も多いのではないでしょうか?

じつは、欧州の企業は脱炭素を「単なる環境対策」ではなく、「企業価値を高める戦略」として活用しています。

本記事は、欧州の脱炭素から「企業価値を高める方法」について解説します。

欧州企業「脱炭素化の現状」

脱炭素化

欧州企業が実践する「脱炭素化の現状」とはどのような内容なのでしょうか?

まずは具体的な特徴を確認してみましょう。

脱炭素化は「コスト」ではなく「投資」

多くの企業にとって、脱炭素化は「設備の更新や省エネ投資にコストがかかる」イメージが強いのではないでしょうか?

しかし欧州ではこれを「長期的な投資」と考える風潮が広がっています。

[Fit for 55(2030年までの削減目標)]

例えば、欧州連合(EU)は2030年までに温室効果ガス排出量を1990年比で55%削減するという目標(Fit for 55)を2021年に掲げました。

この法案に対応するため、現在多くの企業が再生可能エネルギーやエネルギー効率化に積極的に投資しています。

投資の結果、「電力コストの削減やブランド価値の向上」が実現しています。

[欧州企業の事例:IKEA(スウェーデン)]

  • 自社店舗・工場の100%再生可能エネルギー化を進行中
  • 風力・太陽光発電所に積極投資し、電気代を長期的に固定化
  • 「環境にやさしいブランド」というイメージで顧客ロイヤルティ向上

ESG投資が資金調達の有利さを左右

最近の欧州企業では脱炭素化を目指すESG投資(環境・社会・ガバナンスを重視する投資)が急拡大中。

ESG投資を進める企業は、投資家から高く評価され、低金利で資金調達ができるケースも増えています。

[データで見る欧州のESG市場(2024年)]

  • 欧州の運用資産に占めるESG関連投資比率:約65%
  • ESGに積極的な企業は、株価の年間成長率が平均2.5%高い(欧州証券市場統計)

つまり、欧州では「脱炭素に取り組む企業=お金を集めやすく、成長しやすい企業」という図式が成り立っています。

顧客の購買行動が変化している

近年、欧州の消費者は「環境配慮型の商品やサービスを選ぶ」傾向が顕著です。

2023年の欧州委員会の調査では、回答者の72%が「環境に配慮している企業の商品を優先的に選ぶ」傾向が強いと回答しています。

[欧州企業の事例:ユニリーバ(イギリス)]

  • サステナブルブランド(環境配慮型ブランド)は、同社の平均成長率の1.5倍の売上増
  • プラスチック容器を削減した製品の売上が前年比+20%

日本でもエコ志向の購買行動は確実に増えており、「環境配慮は市場拡大の切り札」になりつつあります。

規制が先行する欧州では「先手必勝」

欧州は環境規制のスピードが速く、対応の遅れが市場撤退につながることもあります。

[代表例 : EU炭素国境調整メカニズム(CBAM)]

鉄鋼・アルミ・肥料などをEUに輸出する企業は、製造時のCO₂排出量に応じた炭素税を払う必要があります。

これに対し、欧州の多くの企業は規制導入前から低炭素化を完了させ、競争優位を確保しました。

日本企業も、この「先手を打つ」姿勢から学べます。

欧州企業が実践する脱炭素戦略

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欧州の大手企業は、環境対応を単なるCSRではなく、事業戦略の中核に据えています。

具体的な取り組みは以下の通りです。

[欧州の脱炭素戦略]

  • RE100 : 再生可能エネルギー100%化への加盟
  • Scope 3対策 : サプライチェーン全体のCO₂削減製品の長寿命化
  • サーキュラーエコノミー : リサイクル設計
  • AlloT : デジタル技術を活用したエネルギー管理

[欧州企業の事例:BMW(ドイツ)]

  • 工場の再生可能エネルギー比率を100%に
  • 車体アルミニウムを100%リサイクル材に置き換え
  • 「持続可能な高級車ブランド」として世界販売台数が前年比+6%

このように欧州では、行政が設定する脱炭素化戦略に基づき、企業が具体的に実践することで「環境にやさしいモノ・サービス作りと経済効果」という異なる目標を段階的に達成しています。

日本企業が学べる3つのポイント

欧州の脱炭素化戦略から、日本企業が早急に取り組めるポイントは以下の3つです。

  1. 長期的なコスト削減視点で投資

短期的な費用負担より、10年先のエネルギー価格安定やブランド力を重視する。

  1. 投資家・金融機関との対話を重視

ESG評価を高めることで、資金調達コストを下げる。

  1. 顧客ニーズの変化を見逃さない

環境配慮型の製品・サービスが新しい売上の柱になる。

このように脱炭素化を戦略に落とし込む際は、欧州企業に見習い企業ブランド価値、金融機関との連携、顧客ニーズを捉えることが大切です。

それぞれの要素を考慮しつつ、脱炭素化を検討してみることをおすすめします。

まとめ

今回は、欧州の脱炭素から「企業価値を高める方法」について解説しました。

欧州の企業では、脱炭素化は環境対策に基づいた「成長戦略」として実践され、経済効果も高まっている現状をご紹介しました。

さらに数々の事例が示すのは、「脱炭素化=環境のため」だけではなく、「企業価値を高めるため」の取り組みでもあるということです。

日本企業も、この流れを先取りすれば、国内外での競争力を高められます。

今後の世界市場では、環境対応をしていない企業は選ばれなくなる時代が確実に来ます。

欧州の先行事例を参考に、「脱炭素=チャンス」として捉えることが、企業成長のカギとなるでしょう。

【参考文献】

「脱炭素を軸とした競争力戦略の展開」
https://www.renewable-ei.org/activities/reports/20250709.php

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