サーキュラーエコノミー

SDGs 海外の取り組み

欧州サーキュラーエコノミーを企業経営に活用する方法とは?

近年、サステナビリティを重視する企業経営が急速に求められる中、「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」が世界の注目を集めています。

特にEUでは、サーキュラーエコノミーが国家戦略の柱に位置づけられ、製品設計から廃棄・再資源化までを包含する産業変革が進んでいます。

本記事は、欧州サーキュラーエコノミーの先進事例から日本企業が学ぶべき考え方を解説します。

サーキュラーエコノミーの基本概念

サーキュラーエコノミー

サーキュラーエコノミーは、「取る・作る・捨てる」という従来の直線的な経済から脱却し、長く使う、再利用するなど価値を最大化しながら廃棄物を最小限に抑える経済モデルです。

実際の企業活動においては以下の内容が中心となります。

[サーキュラーエコノミーの概念]

  • 製品の長寿命化
  • 再設計(エコデザイン)
  • 再利用・再製造(リユース・リファービッシュ)
  • リサイクル可能性の最大化
  • サービス化(製品ではなく機能を提供)

この考え方は、製品や事業の設計段階から「循環」を組み込み、経済的価値と環境価値を同時に高める戦略でもあります。

企業が実践すべきサーキュラー戦略

サーキュラーエコノミー

サーキュラー戦略を企業が実践する場合、次の3つのアプローチが重要です。

1.デザインから廃棄を見直す「エコデザイン戦略」

サーキュラーエコノミーは製品の設計段階から「廃棄物を出さない」ことを前提にしています。

現在、欧州では義務化が進んでおり、日本企業も早急な対応が求められています。

[主な手法]

  • 分解・修理が容易な構造に設計する
  • 部品単位で交換・更新できる構造に変更
  • 再生素材・単一素材の活用しリサイクルを促進

[欧州企業の事例]

ドイツの家電大手「Bosch」社は、洗濯機や掃除機のモジュール化により部品ごとの交換が可能に。製品寿命を10年以上に延ばす設計を採用しています。

2.製品を売らず「サービス提供」に転換する

モノを売るのではなく、機能や価値を「貸す・提供する」という「サービタイゼーション(Servitization)」も有力な戦略です。

[欧州・国内企業の代表例]

  • Philips(オランダ)

照明を「販売」ではなく「光のサービス」として提供。使用後は製品を回収し、部品や素材を再利用。

  • 日本のリコー

オフィス機器の「使用料型契約」で、機器は自社が所有したまま提供。回収後の再製品化率も高い。

このモデルでは、製品寿命が長くなるほど企業の利益にも直結し、自然と修理・再利用が促進されます。

3.回収・再資源化の「クローズドループ」構築

廃棄された製品や部材を再び自社製品に取り込む「クローズドループ・リサイクル」の構築は、環境対応とコスト削減の両立を可能にします。

[実践ポイント]

  • 回収スキームを設計し、顧客や流通と連携
  • 材料ごとを選別し、再利用技術の確立
  • 回収製品の品質保証体制をつくる

[国内企業の事例]

パナソニックは家電リサイクル工場でプラスチックや鉄・銅などを高度に分別・再資源化し、新たな製品に活用。

[欧州の事例]

スウェーデンの家具メーカー「IKEA」は、店舗での家具回収や、解体しやすい設計によって再製品化を進めています。

このように企業のサーキュラー戦略では、再利用やデザインの見直しを積極的に採用する事例も増えてきています。

とくに欧州では、個々の企業が制度化されたサーキュラーエコノミーの概念を採り入れることで、リサイクルや修理の手間を減らし、環境へ配慮したモノ作りが進められています。

欧州に学ぶ法制度と政策支援の活用

欧州では企業の自助努力だけでなく、国レベルの制度設計と支援策が進んでおり、日本の企業政策にも大きな示唆を与えます。

【EU】拡大生産者責任(EPR)の制度化

ドイツ、フランスなどは法制度により、生産者の責任を拡大するERPが実施されています。

ERPの特徴や、実施後の結果は以下の内容です。

[ERPの特徴]

  • 製品の設計から廃棄までの責任を製造者に負わせる制度。
  • 包装・家電・バッテリーなど分野ごとに明確な回収率やリサイクル義務が存在。

[制度化した結果]

ドイツでは家電リサイクル率が日本より高水準(80%以上)、フランスでは「修理しやすさスコア(Repairability Index)」を製品表示義務化し、設計段階の工夫が促進されています。

[税制や補助金の活用]

  • オランダでは再生資材の使用に対する税優遇
  • フィンランドではスタートアップ向けに「循環型ビジネス」育成補助金

欧州企業では、サーキュラーエコノミーを促す制度化が積極的に勧められており、成果が現れてきています。

一方日本では一部補助金制度(例:サーキュラーエコノミー実証事業補助金等)はあるものの、制度の周知不足や申請の煩雑さから、活用が限定的な現状が課題となっています。

[企業が今日からできる第一歩]

  • 製品設計部門に「エコデザイン」の研修を導入
  • 使用済製品の回収スキームの設計に着手
  • 循環型ビジネスのモデルケースを学ぶ

欧州の製品サイクルは、サスティナビリティを重視する傾向にありますので、国内企業はサーキュラーエコノミーの概念を取り入れた製品作りに着手することが求められています。

企業は循環型へ移行すべきか?

企業は、循環型の製品やサービス提供に移行すべきでしょうか?

最近のEU制度や消費傾向をご紹介します。

[ESG・サステナビリティ報告義務の強化]

  • EUでは2024年から大企業にCSRD(持続可能性報告指令)が適用
  • 日本企業もグローバル調達網に組み込まれるため、同等の情報開示が求められる

[若年層の消費価値観の変化]

  • 「使い捨て」より「長く使える・再利用できる製品」に共感
  • 環境配慮企業に対するブランドロイヤルティが高い

このようにサーキュラーエコノミーに対応すべき企業は、欧州では輸出についても基準を満たす必要があるため、今後世界的な基準として益々重要になっていくことが予想されます。

また、若年層は環境に配慮し、長く使える製品を選ぶ傾向にありますので、企業はサーキュラーエコノミーを「新たな価値観」として取り組む必要があると言えるでしょう。

まとめ

今回は、欧州サーキュラーエコノミーの先進事例から日本企業が学ぶべき考え方を解説しました。

企業がサーキュラーエコノミーを実践することは、単なる環境対応ではなく、製品寿命の延長による利益率の向上、サステナブルなブランド価値の確立、そして国際市場での信頼獲得につながります。

日本企業は、欧州で進む制度化や設計思想を参考に、「循環を前提とした事業モデル」へと根本からの転換が求められていると言えるでしょう。

【参考文献】

「サーキュラーエコノミーの動向 」
https://cehub.jp/database/eu/

お気軽にお問い合わせください

-SDGs, 海外の取り組み
-, ,