脱炭素化を目指す欧州では、再生エネルギーの柱とも呼ばれる太陽光発電の需要が増えています。
その理由として太陽光発電は欧州グリーンディール達成に向け、ロシアからの化石燃料に替わる代替エネルギーとして注目されているためです。
本記事では欧州で再エネ・太陽光発電の需要が増大する理由や背景を詳しく解説します。
欧州で太陽光発電が拡大

欧州では、2050年までの温室効果ガス(GHG)排出の実質ゼロを目標に掲げる欧州グリーンディール達成に向け、太陽光発電など再エネのシェアが注目、拡大しています。
じつはこの動きは世界中で広がっており、化石燃料に替わる発電として風力・太陽光発電が再エネの中心となっています。
また、欧州では原発の割合も減少しているため、太陽光発電は再エネ政策の中心的役割を担っていると言えます。
導入が加速するドイツ
欧州で太陽光発電パネル導入を最も加速している国がドイツです。
2023年の第一四半期、ドイツでは新たに19万ヶ所で太陽光発電施設が新たに導入されました。
これは昨年の同時期と比較した場合、およそ2.5倍の件数です。
また、導入後の発電容量は2.84GWと昨年同時期の4割増しの電力供給を賄っています。
昨年一年間、ドイツでの太陽光発電の新規導入容量は約7GWで、もう一方の再エネ風力発電の導入量2.7GWと合計すると10GW近い電力が導入されたことになります。
発電所建設数も増加傾向に
太陽光発電が好調な理由は、入札時にも表れています。
ドイツ連邦ネット庁(BNetzA)が実施する、野立ての太陽光発電の結果では、入札枠2GWに対しおよそ350件の入札が行われました。
従来は入札枠まで至らない事例が多く、入札を増やすことが課題とされていた昨年と大きく状況が変わっています。
入札が増えた理由は、エネルギー価格の高騰や再エネ需要の拡大と併せて、入札価格が変更されたことも大きいと言われています。
普及を後押しする価格設定
入札件数の増加と併せ、太陽光パネルの需要増大を受け、電力あたりの価格も変化が見られます。
最近では1kWhの上限は約5ユーロから約7ユーロとおよそ1.4倍に改訂されました。
また、これまで上昇傾向にあった太陽光パネルの価格はこの半年間で一転し、値下がりするようになりました。
このような価格傾向から、今後太陽光発電の普及を後押しする好材料になる見通しです。
再エネ政策は欧州全体に
このような太陽光発電を始めとした再エネ政策拡大の傾向は、一過性ではなく欧州全体に波及しています。
例えばドイツ以外にもオランダやスペイン・ギリシャなど南欧諸国でも再エネ政策の見直しが進んでいます。
世界のエネルギー事情と予測

エンバーが2022年に発表した発電実績のデータによれば、世界の太陽光・風力発電の合計が全体の12%程度まで拡大しています。
一方で化石燃料での発電量は、2022年を境にピークアウトする予測が出たことで注目を集めました。
化石燃料減少の予測値
2023年の予測値では、化石燃料での発電量は約47TWhのマイナスとなる他、その後も減少傾向が見られることが示されました。
この数値は前年と比べた場合0.3%と僅かであるものの、エネルギーの主力とされていた化石燃料が衰退する新しい時代が始まったことを意味しています。
再エネは更なる拡大路線に
一方の再エネは拡大傾向が続いています。
とくに太陽光・風力発電を合わせた発電量は、2022年と比較し約640TWhと2割ほど増加する見込みです。
このため太陽光・風力発電は、化石燃料からシフトする代替えエネルギーの主力となることが分かっています。
欧州の太陽光発電普及に向けて
欧州では2030年までに太陽光パネルによる発電を、域内の40%まで高める「ネットゼロ法案」が政策目標に掲げられています。
しかし現状のままでは達成が難しく、欧州政府の支援がなければ欧州の太陽光業界は工場閉鎖の危機に瀕していると言われています。
中国メーカーへの対応に追われる
その理由として、太陽光パネルは現在供給過多の状態にあるためです。
中国の輸出政策によるパネルの過剰生産・輸出により欧州の港には欧州の年間発電量を上回るパネルが格納されています。
参考データとして、欧州メーカーによる年間発電量は6GW、欧州全体での発電量は56GWに対し、中国製パネルの格納分は約80GW相当に昇ります。
このため中国メーカーは現状への対策として、パネルの販売価格を生産コストを割る低価格で販売、欧州メーカーは対抗手段が無い状況となっています。
欧州の太陽光パネルメーカーは、欧州産パネルの買上げ、中国メーカーへの関税措置などの対策を政府に求めていますが、貿易保護の観点から、EUでは具体的な対策を示していません。
まとめ
今回は、欧州で再エネ・太陽光発電の需要が増大する理由や背景を詳しく解説しました。
グリーンディール実現に向けて、欧州では太陽光発電による再エネ需要が拡大していることをご紹介しました。
また、従来の化石燃料によるエネルギー需要から、再エネにシフトが始まっている現状についても、エネルギー政策の新しい時代が始まったことを意味していることが分かります。
欧州の現状を参考に、日本でも更なる再エネ需要拡大が求められています。

