放置され、荒廃した竹林を見たことはありますでしょうか?!
現在、森林や里山林などへ広がっている竹林に悩まされている地域が拡大しています。
竹に侵入された森林の樹木が枯れてしまうなど、大きな問題になっているのです。
しかし、竹林の整備がなかなか進まないのは、なぜでしょうか?!
その背後には竹の特性や適切な駆除方法を知らないことが潜んでいます。この情報不足が整備のさまたげとなり、竹林の問題が深刻化しているのです。
それでは、竹林の現状と問題点について解説していきます。
日本の竹林増加と森林環境への影響
日本の竹林面積は、年々増加傾向にあり2012年に約16万haとなりました。
西日本の九州や中国地方を中心に広く分布し、日本の森林全体の約0.6%が竹林で占められています。
(参照:林野庁HP資料)
整備が行きとどいた竹林も存在する一方で、整備が行われていない竹林には、竹材としての生産性が低いものが多くみられます。
全ての竹林が急いで整備される必要はなく、土地のもともとの利用方法によって、見極め方がことなります。
「管理竹林」:人の手で現状管理されている竹林
「拡大竹林」:もとは竹林ではなかったところに、竹が侵入してできた竹林
「木竹混交林」:森林へ竹が侵入し、竹と樹木が混ざった林
「放置竹林」:かつて竹林として管理していたが、現在は管理していない竹林
「拡大竹林」や「木竹混交林」といった、もとの生態系が変容した竹林は、速い対応が不可欠です。竹の成長の速さから、一刻も早く竹林整備を進めることが要となります。
竹の特性とモウソウチク林の増加
日本には、100種類以上の竹があります。その中で、主に山野で生育されているものがマダケ・モウソウチクです。
竹林の拡大で特に問題視されているのが、モウソウチク林の増加です。
モウソウチク(孟宗竹)
モウソウチクの稈(かん)は高さ20m、直径20cmにもなります。節は一重です。
全体に白い粉がついていて、先端が垂れているので、遠くから見ても見分けやすいのが特徴です。
(参照:森林総合研究所関西支所HP資料)
モウソウチクは、建築材料や農業や漁業資材また、花器や細工物の一部として用いられています。竹材の主な産地は、鹿児島県、熊本県です。
タケノコは、食用として普及しています。
竹は年間を通して、常に緑色の葉を保ち複数年生存できる植物です。
伐採しても、かんたんに新しい竹が生えてきます。
地面の中で地下茎を周囲に伸ばすことで、毎年地下茎から新しい芽が生えてくるのです。
地下茎は1年で2~3mほど、最大で7~8mも伸びるため、地上の竹だけ伐採しても成長を完全に防ぐことができません。
竹は数か月で成竹となり、モウソウチクは1日で119cmも伸びた記録があるほどです。
寿命は約20年で、太いものほど長寿で最高30年の竹もあります。
放置竹林が引き起こす生態系への影響
竹林を放置すると、周辺の森林や里山林へ地下茎をのばすことで侵入して、他の植物の成長をさまたげます。
小さい竹でも、大きい竹と同じレベルの光合成をおこなえるため、地下部に栄養を蓄えることができ、その栄養分で芽が生えてくるのです。
地下の栄養分でも育つ竹は、日光があたらなくても立派に成長することができます。
竹のかげにかくれた樹木は光合成ができず枯れてしまい、新しい樹木も生えず森林が衰退してしまうのです。
竹林を管理しなくなると、ほんらいの森林の重要な機能がそこなわれ、自然界の生態系が変わってしまいます。
そのため、早急に放置された竹林整備をする必要があるのです。
次回は、竹林が拡大した原因と解決策について解説します。
後編は以下からご覧ください。