2024年から導入される「森林環境税」はご存じでしょうか?!
「森林環境税」は、日本に住所がある納税義務者が、1年間に1,000円を住民税とともに支払う義務がある税金です。
日本の納税義務者は、約6,200万人いるため「森林環境税」は、年間約620億円あつまる予定です。
(参照:林野庁HP)
納税した私たちの税金は、「森林環境譲与税」として国から市町村・都道府県へ分配され、森林管理に充てられます。
「森林環境税」と「森林環境譲与税」が設けられるに至った経緯は何だったのでしょうか。
「森林環境税」と「森林環境譲与税」の重要性と背景!森林管理の新制度!
「森林環境税」と「森林環境譲与税」のきっかけとなったのが、2015年パリで開催された国際的な協定である「パリ協定」です。
世界共通の長期的な目標である地球温暖化対策として、世界各国は温室効果ガスの削減に取り組むことを合意しました。
日本は中期目標として、2013年を基準に2030年までに温室効果ガスを26%削減しなければならないと定められたのです。温室効果ガス削減の一環として、森林が炭素吸収において重要な役割を果たすことが認識されています。
(参照:経済産業省HP)
これをきっかけに、国内での森林整備の必要性が浮き彫りになり、その資金調達手段として「森林環境税」と「森林環境譲与税」が創設されたのです。
そして2018年、日本で「森林経営管理制度」が導入されました。
森林所有者や林業経営者のみが森林を管理するのではなく、市町村も加わって、主体的に森林を管理する制度です。
市町村は、森林所有者から森林管理を委託された場合、林業経営者に依頼。
林業経営にむかない森林は公的に管理し、積極的に取り組むことが必然となりました。
とにかく早く森林整備を開始必要があるため、緊急な措置が求められています。
(参照:林野庁HP)
それでは、具体的な「森林環境譲与税」の使い道について解説します。
森林環境譲与税って何?お金の分配基準は?!
「森林環境譲与税」の目的は、森林管理です。
森林管理といっても幅広く、【市町村】と【都道府県】では具体的な目的がことなります。
譲与目的
【市町村】
・間伐等の森林整備
・人材の育成、担い手の確保
・木材利用促進、普及啓発
【都道府県】
・森林整備を実施する市町村へ支援するための費用
「森林環境譲与税」には、譲与の按分基準があります。この基準は、【市町村】・【都道府県】両方に適用され、割り当てられた税金がそれぞれの地域に分配されます。
譲与の按分基準
・私有林人工林面積:50%
・林業就業者数:20%
・人口:30%
実は、「森林環境譲与税」の制度は2019年から発令されています。2019年から、2024年までに2,300億円が使われる予定です。
毎年、森林管理への活用金額が増えていますが、使われていない資金や按分基準に疑問の声があり、森林面積への配分を増加させるべきだとの意見があがっています。
(参照:林野庁HP)
温室効果ガス削減は、だれもが同じ目的であるため、資金の使途に対する検証は重要です。
現在、一部の市町村や都道府県では、資金の透明性を高め、地域のニーズにあわせた柔軟な使い道を模索しています。
「森林環境譲与税」が地域に良い影響をあたえる仕組みづくりが必要です。
これにより、日本が目指す2030年までの温室効果ガス削減目標に向けて、持続可能な森林環境が築かれることが期待されます。