持続可能な社会を目指すSDGsの影響もあり、最近では素材をリサイクルする試みが始まっています。
「木粉」もそのひとつで、バイオプラスチックなどの素材として使用できる高品質な木粉素材を提供する企業も増えて来ています。
本記事では高品質な木粉素材の特徴や、環境負荷を減らす取り組みについて解説します。
高品質な木粉とは?
従来の木粉は、建築資材・家具などの製作過程や木材を取り壊す際などに発生する「副産物」として扱われてきました。
このような過程で発生した木粉を素材化する場合、不純物が混じる・粒度の調整が難しいなどのデメリットが存在しました。
しかし最近では地域で採れた木材を加工し「高品質な木粉素材」として販売する企業も増えてきています。
高品質な木粉とは、どのような特徴があるのでしょうか。
いくつかの特徴をご紹介します。
木粉の品質基準について
木粉を素材として使用する際の品質基準は以下の内容になります。
- 原産国(純度)
木粉の原産国・純度が何%含まれているか
(例 : 国産製品・国産材100%など)
- 原料
木粉の生産地・製材の端材、部材を使用しているか
- 不純物
粘着材・アスベスト・金属粉・防腐剤などが混入していないか(都道府県別の認証基準をクリアしているかなど)
- 機能性
木粉を素材として使用する際の安全性に優れているか
良質な木粉は素材ごとの機能性を有しています。
主な項目は以下の内容になります。
1.吸水性
微細な木粉は粉状のため表面積が大きく、水分を含む性質があります。
2.消臭性
こちらも粉の表面積が大きく、臭気を含む特性があります。
3.断熱性
使用する木材は比重が軽く小さいため、熱伝導率は小さい特性があります。
4.抗菌性
木材の樹種・成分により、菌の繁殖を抑える殺菌(抗菌)効果があります。
5.基本的に木材は自然素材のため、腐朽します。
ただし異素材と混ぜることで耐腐朽性を備えることも可能です。
6.粒子の大きさ
木粉を素材として使用する際、一定の大きさに加工する必要があります。
一般的に「おが粉」は木粉と似ているため間違われる事がありますが、木粉はさらに粒子が細かく、安定した形状をもっています。
【 木粉粒子の大きさの目安 】
- チップ状 : 5mm〜
- おが粉 : 約1〜5mm
- 木粉 : 約1mm(1,000μm以下)
このように木粉は大変微細な粒子ですので、異素材と組み合わせるなど多目的に利用する事が可能になります。
木粉の活用方法について
木粉を素材として使用する際の一般的な活用方法をご紹介します。
1.素材と「混ぜる」
粉末状の木粉は、木粉以外の他の素材と混ぜることで木素材特有の性質を加える、素材全体の嵩をます「増量材」として使用できます。
2.木の生物を抽出
木粉は微細な粒子のため個々の表面積は大きくなります。
このため木に含まれた成分の抽出・科学反応を引き出すことが可能です。
3.防湿・消臭作用
湿気を吸収する防湿材としての効果や、臭気を含む消臭剤としての用途があります。
4.断熱・防音効果
木粉の軽く、表面積が大きい特性は断熱性、吸音性の特性があり基材としての用途にも適しています。
このように高品質な木粉にはさまざまな活用法がありますので、用途に合わせた形状、材質を選ぶようにしましょう。
環境負荷を減らす取り組み
2015年に国連で採択された持続可能な社会を目指すSDGsでは、2030年の期限までに達成すべき17項目の目標が掲げられています。
地域で採れた原木を通じ、木粉に加工することで森林整備、環境負荷を減らす効果が期待できます。
木粉加工によるSDGsに関する項目は以下に該当します。
(※数字はSDGs項目ナンバーです)
13. 気候変動に具体的な対策を
国内の森林を管理し、気候変動による自然災害に対する基盤作りを促進します。
14.15.海・陸の豊かさを守ろう
森林資源を活用し、山から海に繋がる生態系を守り持続可能な有効利用を確保します。
4.質の高い教育をみんなに
森林・環境に関する教育活動を通じて持続可能な資源の開発を促進する技術・知識の習得を目指します。
このように木粉を生成する場合、おもに地域ごとの森林資源の管理、活用を通じて環境負荷を減らす取り組みが行われています。
木粉を購入する際など、品質の確認と併せて是非参考にご覧ください。
木粉素材の品質向上を目指して
合同会社ELEMUSでは、100年後に暮らす人たちが現代以上に快適・安全に暮らせるサスティナブルな社会を目指した取り組みを行っています。
弊社は愛知県三河地域で原木・木片を「木粉」に加工し、用途に適した粒度にて提供し、バイオプラスチックなどの素材としてご利用頂いています。
お住まいの地域で採れる原木や木片の有効活用をご検討の際は、是非ELEMUSにご相談ください。
まとめ
今回は、高品質な木粉素材の特徴や、環境負荷を減らす取り組みについて解説しました。
高品質な木粉は、従来の建築資材などの副産物としての木粉と異なり、「素材」としての品質を確保した特徴があることをご紹介しました。
地域で採れた木材など国産材を使用することで、森林管理など環境負荷を減らすことに繋がることもご理解頂けたのではないでしょうか?
新たな木粉素材の特徴を参考に、製品・素材開発にお役立て下さい。