現在、世界的な問題となっているプラスチックごみに関する問題をご存知でしょうか?
欧州ではそんなプラスチック問題を解決する新素材「lyfecycle(ライフサイクル)」が開発されました。
本記事では、海洋プラスチック問題を解決に導くlyfecycleの特徴について解説します。
海洋プラスチック問題とは?

普段の生活でプラスチックは欠かせない素材ですが、ごみとして廃棄する際、リサイクルや焼却で残る成分は河川や海に流れ込んでしまいます。
マイクロプラスチックは分解されない
海に流れたプラスチックの残骸は衝撃や紫外線の影響を受け、大きさが5㎜以下のマイクロプラスチックとなります。
マイクロプラスチックは非常に微細ですが、分解されずに何十年も地球上に残り続けます。
生態系に悪影響を与える
海に漂うマイクロプラスチックは、例えば魚や貝類が海水に混じり体内に取り込んでしまい、死んでしまうケースもあります。
また、マイクロプラスチックが蓄積した魚介類を食べる人への健康被害も懸念されています。
このように、マイクロプラスチックは私達の生態系に悪影響を与えるとして問題視されているのです。
プラスチックが普及した背景

最近では環境問題が指摘されているプラスチックですが、世界で普及した背景をご紹介します。
日常生活にメリットが多い素材
プラスチックは安価で軽く、さまざまな用途に使えることや大量生産できる特徴があります。
このため食器や容器、生活雑貨など日常生活にメリットが多い素材として工業製品が発達し始めた1950年代から爆発的に普及しました。
100%排除は難しい
プラスチックが生活の一部となっている現在の生活を考えてみましょう。
例えば冷凍食材を保存するタッパーウェア、卵のケースや野菜の保存袋。
冷凍ご飯を包むラップやお菓子の袋などさまざまな製品として利用されているため、100%排除することは難しいと言えます。
実際、今日では世界で毎年「数億トン」のプラスチックが製造・消費されています。
分解可能なプラスチックが誕生
日々の生活で欠かせないプラスチックですが、例えばペットボトルのようにリサイクル率の高い製品が存在する一方、廃棄されるプラスチックは分解されず海へと流れてしまいます。
- プラスチックの問題点
これまでのプラスチックの問題点は、廃棄時に分解されず廃棄されることにありました。
また、多くの需要があるプラスチックは、ごみは減らしつつ必要量を確保する必要があります。
- 分解できるプラスチックの開発
これらの問題を解決するため、プラスチックをリサイクル以外に廃棄する際残らないよう「分解」するアイデアをもとに、新たなプラスチック素材が開発されました。
欧州で登場「lyfecycle(ライフサイクル)」

欧州で新たに開発された分解可能なプラスチック素材は「lyfecycle・ライフサイクル」と呼ばれ、廃棄時に環境負荷の少ない素材へと分解できることが分かりました。
イギリスのスタートアップが開発
lyfecycleは環境先進国のひとつイギリスのスタートアップ企業「Polymateria」社により開発されました。
lyfecycleは添加剤であり、従来のプラスチックに2%加えるだけで生分解性を持つことができます。
また、予め想定した年数が経過すると分解が始まる画期的な仕組み。
分解後は水、二酸化炭素、バイオマスに完全分解されるため、マイクロプラスチックを残さず処分できるようになりました。
このように欧州では、生分解性をもつプラスチック新素材が開発されています。
現在、海洋プラスチック問題解決に向け普及が進められている点は注目すべき内容と言えるでしょう。
欧州のプラスチック政策について
欧州は世界的な環境先進地域として、プラスチック関連の規制、戦略や政策が進められています。
- バイオプラスチック関連の法律
2022年、欧州では「バイオベース・生分解性・堆肥化可能なプラスチックに関する政策的枠組み」発足されました。
この政策は、バイオプラスチックの課題や利益についての取組みが記載されています。
- 包装資材にも新素材を利用
2024年4月には、新たに「包装および包装廃棄物規則(PPWR)」が可決、発足されました。
この規制は欧州全域で流通するすべての包装廃棄物のリサイクルを義務化することを目的としています。
また、発効から3年以内にバイオプラスチックによる包装資材の開発および評価を行い、持続可能性の要件を定めることが決まりました。
このように欧州では新たな政策、規制をおもとにプラスチックの廃棄を抑えつつ、リサイクルや生分解性を持たせたバイオプラスチックの開発が進められています。
まとめ
今回は、海洋プラスチック問題を解決に導くlyfecycleの特徴について解説しました。
プラスチックの廃棄物による海洋汚染の問題点をお伝えしました。
また、個々の問題点をクリアする生分解性を持たせたバイオプラスチックの開発が活発化していることもご紹介しました。
今回ご紹介しましたlyfecycleなど、廃棄時にマイクロプラスチックが発生しない画期的な素材も今後普及していくことが期待されています。
日常生活で欠かせないプラスチック素材を、ゼロカーボン社会を目指して取り組んでいきましょう。
【参考文献】
「カーボンニュートラルとカーボンオフセットの違いとは?仕組みや取り組みをわかりやすく解説」
(参照)https://www.mitsui.com/solution/contents/solutions/offset/difference-between-carbon-offset-and-carbon-neutral