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EUの「原子力・再生・低炭素」最新エネルギー事情を解説!

2023年10月、再生可能なエネルギー目標を定める法律「再生エネルギー指令」がEUで改正されました。

この法案の中で各部門が使用する水素のうち「非バイオ再生エネルギーの水素」の比率について活発な議論が行われました。

本記事では、EUの「原子力・再生・低炭」素最新エネルギー事情を解説し、各国のエネルギー事情をご紹介します。

EU再生エネ指令改正のポイントは?

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2023年10月、EUでは2030年に消費されるエネルギーのうち、再生エネルギーが占める比率を現在の32%から42.5%に引き上げる再生エネルギー指令の改正が行われました。

新たな「免除規定」に注目

指令改正に併せて、「化石燃料を由来とする水素の比率」が以下の割合であった場合に、「非バイオ再エネ由来の水素」の目標を引き下げる新たな免除規定が設定されました。

[2030年の免除規定]

  • 化石系水素58%→ 非バイオ系水素42%
  • 化石系水素23%→ 非バイオ系水素22%・低炭素系水素55%

[2035年の免除規定]

  • 化石系水素40%→ 非バイオ系水素60%
  • 化石系水素が20%→ 非バイオ系水素40%・低炭素系水素40%

  このように化石燃料由来の水素の比率に応じて、非バイオ再エネ由来水素の目標を20ポイント引き下げられることになります。

また免除が適用された場合、残りを原子力などバイオマス由来も含めた「低炭素系水素」で補うことが可能になりました。

EUではカーボンニュートラル達成の2050年に向けて、各国のエネルギー事情に合わせた柔軟な対応が求められています。

EU各国のエネルギー事情

今回の免除規定を巡り、EUの一部加盟国からの強い要望がありました。

再エネ指令改正の議論が進む中、2023年2月にフランス、ポーランド、チェコ、ルーマニア、ブルガリア、スロベニア、クロアチア、スロバキア、ハンガリーの9カ国よりEUに書簡を送付しました。

原子力による水素の扱いについて

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この書簡は、原子力を由来とする水素を、再生エネルギー由来の水素と同等に扱うよう働きかける内容でした。

これらの国々は、原子力推進国である一方、再エネ資源に恵まれない国も多く、「非バイオ再エネ由来水素」の定義を巡り議論が活発化している背景があります。

原子力水素に対する各国の背景

例えばドイツは既に脱原子力を完了し、EUの再生エネルギー拡大に向けた再エネ資源を保有しています。

また、2030年を目処にフランス・ドイツに非バイオ再エネ由来水素を輸出する予定のスペインは、再エネ水素に原子力水素が含まれる案に強く反対しました。

免除規定が可決された理由

一方、フランスを始めとした各国は原子力を再エネ由来水素として扱うことを条件に強く要請しました。

このような背景から、最終的に非バイオ再エネ由来水素目標の免除規定が認定されました。

免除規定の適用とその先の見通し

このように各国のエネルギー事情が異なる背景があることから、2035年までに免除規定が適用されるEU加盟国は限られていると言われています。

実際にEUに書簡を送った9カ国では、原子力発電所が運営段階に入っていない国も多いことや、旧電力からの移行もあり産業用水素の大規模製造の確保が難しい現状があります。

原子力比率が高いフランス

フランスはEU内でも比較的低炭素な電源を確保する一方、原子力比率は電源構成のおよそ70%と高い割合を占めています。

実際の運用では2035年までに650万kWの水素製造用電解プラントを用意する計画が進んでおり、既設炉と合わせて80%台まで電力を確保される見通しです。

ただし、2035年までに新たに新設される原発は2024年に開始予定のフラマンヴィル3号機1機のみのため、既設炉の運用で水素製造に必要な電力を確保できるかが課題となっています。

エネ指令改正が意味するもの

今回の再エネ指令改正は、EU各国の将来に向けたエネルギー政策を方向付ける意味合いがあります。

改正後数年の後に、「2035年以降」の目標となる新たな再エネ指令改正が協議される可能性が高く、最終的に2050年以降はカーボンニュートラルが規定の目標値です。

一方、再エネ資源に乏しい一部のEU加盟国が今後更なる低炭素化を目指す場合、原子力は非常に重要な選択肢となります。

他にも炭素水素を原子力で製造し商業的な用途に繋げることも検討されているため、東欧諸国は今後のエネ指令改正を注視する必要があると言えるでしょう。

まとめ

EUの「原子力・再生・低炭」素最新エネルギー事情を解説し、各国のエネルギー事情をご紹介しました。

2050年のカーボンフリー実現に向けて、EUでは各国のエネルギー事情や背景が異なることを解説しました。

2030年・2035年に向け適用される免除規定により、原子力による水素製造の用途や可能性は広がりを見せています。

しかし大規模な原子力水素の拡大には、各国の電力供給事情を大幅に変える必要があることもご理解頂けたのではないでしょうか?

今回決定された免除規定は、今後のEUのエネルギー戦略を方向付ける重要なポイントとなるでしょう。

【参考文献】

【EU】各国のエネルギー事情を踏まえた再エネと原子力を含むその他の低炭素エネルギー源の共存 「https://www.fepc.or.jp/library/kaigai/kaigai_topics/1261344_4115.html」(参照)

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