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LCA(ライフサイクルアセスメント)の目的・概要を詳しく解説

最近ではSDGs達成に向けたCO2削減の手法として、LCA(ライフスタイルアセスメント)が新たな話題となっています。

LCAは、製品・サービスの環境負荷を明確にするために採用されますが、専門的な分野のためよく分からないという方も多いのではないでしょうか?

本記事では、LCAの目的や概要について詳しく解説します。

LCA(ライフサイクルアセスメント)とは?

LCA

LCA(ライフサイクルアセスメント)とは、製品やサービスが生まれ、使用され、役目を終えるまでの一連のプロセスを評価することを意味します。

環境性能の判断基準について

最近では、SDGsなど環境意識の高まりから「CO2排出量を大幅に削減!」といったメリットを謳うキャッチコピーをよく見かけるようになりました。

しかし製品を使用する際にCO2を排出しない製品であっても、製造段階で大量にCO2を排出している場合はどうでしょうか?

例えば電気自動車は走行時のCO2排出量はゼロですが「ガソリン車よりも環境負荷が少ない」と言われると、違和感を感じる方も多いのではないでしょうか?

LCAでライフサイクルを判断できる

製品やサービスがSDGsにどのように貢献しているかを示す場合、一部分だけを切りとってしまうと総合的な判断が難しくなることが分かります。

しかしLCAを活用することで、企業が製品・サービスの環境負荷軽減にどのように取り組んでいるかを総合的に判断することができます。

例えば製品のライフサイクルを示すLCAでは、以下の内容が判断基準となります。

  • 原材料の生産
  • 材料の輸送
  • 素材・部品の製造
  • 製品の組み立て
  • ユーザーの使用・修理
  • 製品の解体
  • 処分(焼却・埋め立て・リサイクルなど)

このようにLCAでは原材料の用意から製造過程、流通、消費、廃棄に至るまでの過程全般で評価する特徴があります。

製品のライフサイクル全般を数値化することで、第三者が判断する際の「明確な基準作り」がLCAの目的と言えるでしょう。

LCAで注視すべきポイント

LCAで製品のライフサイクル全般を見渡した時に、何を注視すべきでしょうか?

例えばエアコンは製品寿命が長く、使用時に環境負荷が大きいと言われています。

その理由として、エアコンは使用時にCO2排出量のおよそ90%を電力で消費するためです。

このため、環境負荷の少ないエアコンを開発する場合、いかに「使用時の消費電力を抑える」ことができるかがポイントになります。

一方で製造時にCO2排出量を削減することも環境負荷を減らすことに繋がりますが、LCAで比較した場合使用時の電力消費を抑える方が効果的であることが分かります。

このようにLCAは製品のライフサイクル全般を通じた環境負荷要素(CO2排出量など)を数値化するため、比較や目標が立てやすくなる特徴があります。

LCAを実践する方法について

LCA

企業がLCAを実践する際の規格はさまざまですが、例えば第三者機関に信頼性を確保する手段としてIOS規格を採用する方法があります。

  • IOS14040

IOS14040は国際規格としてLCAを実践する方法が定められています。

具体的な手順は以下の内容になります。

1.ライフサイクルプロセスを分析

すべてのLCA過程で必要な手順として、製品のサイクル(原材料の調達・輸送・生産・消費・廃棄)を分析します。

2.個々のプロセスごとに項目を算出

分析した個々のプロセスごとにデータをインプット・アウトプットします。

  • インプット項目

原材料・消費電力・使用する燃料など

  • アウトプット項目

廃棄物・CO2・SOx・NOx

3.各項目で環境負荷を算出

インプット・アウトプットのデータを算出した後、各項目の数値をもとにそれぞれの環境負荷を算出します。

この時、例えばインプットにレアメタルなどの資源を使用すると環境資源の減少に繋がり、アウトプットにSOxが排出されると酸性雨のリスクが増えるなど、環境に与える影響を試算できます。

LCAが重要視される背景

近年LCAが重要視される背景には、世界的な環境意識の高まりが背景があります。

2015年に開催された「COP21」にて、CO2排出量を削減する「パリ協定」が採択されました。

現在各国はカーボンニュートラルに向けた法整備が進められており、LCAも環境負荷を減らす取組みのひとつとして普及し始めています。

LCAが改善の足掛かりに

LCAはデータの算出に専門的な知識が必要なため、普及する際に一定のハードルがあることが分かっています。

しかしLCAを採用することで、製品のライフサイクル全般を可視化することができます。

例えば各項目で環境負荷の高い項目を改善することで、「CO2の排出量を◯%削減できる」といったシュミレーションも可能になります。

また、改善に向けた個別のコストも割り出せるため効率的に改善を行うことができるでしょう。

まとめ

今回は、LCAの目的や概要について詳しく解説しました。

LCAは製品やサービスの具体的な環境負荷を算出する手法であることをご紹介しました。

製品のライフサイクル全般を見渡し、CO2排出量削減など具体的な改善にお役立て頂けます。

LCAをはじめとした環境対策を、引き続き進めていきましょう。

【参考文献】

「LCA(ライフサイクルアセスメント)とは?わかりやすい徹底解説 」

(参照)

https://zeroc.co.jp/column/about-lca

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