欧州 プラスチック規制

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欧州のプラスチック規制とは?最新状況や取組みを詳しく解説

最近では温室効果ガス削減や、海洋プラスチック問題が深刻化している問題を受け、その要因のひとつであるプラスチックごみを減らす取り組みが進んでいます。

とくに環境先進国と言われる欧州では、プラスチック規制化が進んでおり、取引先や関係諸国も注意が必要です。

本記事では、欧州のプラスチック規制の全容や、最新状況を解説します。

欧州のプラスチック規制とは?

欧州 プラスチック規制

欧州のプラスチック規制は、プラスチックの「持続可能な利用をライフサイクル全体で推進する」ことを目的に法整備が進められています。

欧州プラスチック規制の全容

現在、EU(欧州委員会)が取り組んでいるプラスチック規制の全容をご紹介します。

プラスチック規制の目的

EUは持続可能な社会を目指す「循環型経済(サーキュラーエコノミー)」実現に向け、環境先進国としての規制を推進しています。

現在までの規制の経緯

2018年、EUで「欧州プラスチック戦略」が可決されました。

戦略では、以下の目標が設定されています。

  • リサイクル可能な素材に変更

欧州内のすべてのプラスチック容器を対象に、100%リユース・リサイクルを可能にする

  • プラスチックごみを減らす

欧州域内のプラスチックごみのリサイクル率を、50%以上に向上させる

これらの目標をもとに、2021年よりすべての使い捨てプラスチック製品を禁止することが決定されました。

EUで主体となる取組み

EUで主体となっているプラスチック規制の取組みには、以下の内容があります。

EU指令(特定のプラスチック製品の環境への影響の低減について)

海洋汚染の原因となる、環境負荷が高いプラスチック製品を規制する指令であり、2019年に施行されました。

〈規制の対象となる製品〉

  • 使い捨て容器・食器など
  • 発泡スチロール製の食材、食品用の容器
  • 酸化型分解性のプラ製品
  • 漁具など

このうち、酸化型分解性のプラ製品は、そのまま廃棄するとマイクロプラスチックなど残留物が残りやすい素材としてとくに問題視されています。

〈規制の一例〉

例えば、飲料、食品用のカップや容器を使い捨てプラスチックにする場合、有料とするなどの対策が必要となります。

また、蓋やキャップが本体と一体となるデザインを採用する、これらの素材を再生プラスチックに変更するなど製造メーカーの責任を義務付けることも大切でしょう。

エコデザイン規制

2023年には、EUで新たに「エコデザイン規制(ESPR)」法案が可決されました。

この法案には、EU域内で流通するすべてのプラスチック製品をエコデザインに変更する目標が掲げられました。

〈エコデザインとは?〉

製品の製造・消費・廃棄までのライフサイクル全体で、資源やエネルギー消費を抑える設計を指し、下記のような特徴が挙げられます。

  • リユース、リサイクルが容易
  • 原材料に無駄がないl
  • 修理がしやすい構造である
  • リサイクル素材を多く含んでいる

〈繊維・アパレル業界も対象に〉

環境問題で問題視されている産業のうち、石油産業についで世界第2位とされている産業が繊維・アパレル業界です。

このためエコデザイン規制は衣料品のプラスチック素材に対しても対象となることが分かっています。

また、今後は食品・医療関係以外の製品についても、対象が拡大される見通しです。

欧州プラスチック規制の最新状況

欧州 プラスチック規制

欧州のプラスチック規制で現在注目されている最新状況をお伝えします。

包装・包装廃棄物法令

2024年に暫定合意された「包装・包装廃棄物法令(PPWR)」では、包装廃棄物を大幅に削減する目標が掲げられました。

〈実施までのスケジュール〉

この法案は、従来EU各国ごとに実施されていた包装物の廃棄について、統一規格により廃棄量を定める目的があります。

今後は欧州議会での採択後、官報に記載され20日経過後に発効、適用期間を設け18ケ月後に実施される予定です。

〈PPWRの実施事項〉

PPWRで実施される主な内容は、以下の3つです。

  • 包装廃棄物を段階的に削減
  • 包装材をリサイクル素材に変更
  • 包装材の再利用を促進

このうち、包装廃棄物については2018年の廃棄量をもとに次の削減目標が義務付けられました。

また、包装材のリサイクルや再利用についても新たな目標が設定されています。

〈廃棄物の削減目標〉

2018年の廃棄量を100%とする

  • 2030年まで→5%削減
  • 2035年まで→10%削減
  • 2040年まで→15%削減

日本の業者も対象に

PPWRはEU域内のすべてのプラスチック製品が対象となるため、EU向けの輸出製品や現地で生産している日本の業者も対象となる点は注意が必要です。

とくにEU各国に包装関係の製品を輸出している業者については、使用済みの包装材を回収・再生する際の費用を負担する義務も課せられるなど生産業者の責任範囲が拡大されています。

さらに包装材を廃棄する際も回収、選別、精製、再生義務が生じるため業者の負担が大きく増えることが懸念されています。

まとめ

今回は、欧州のプラスチック規制の全容や、最新状況を解説しました。

欧州では、海洋プラスチック問題解決に向けたさまざまな取組みが行われていることをご説明しました。

単にごみを減らすだけでなく、マイクロプラスチックの削減やリサイクルを実現する規制が生まれている現状がご理解頂けたのではないでしょうか?

一方で日本国内の業者も対応する必要があるため、最新動向を常に確認する必要があることもお伝えしました。

プラスチック問題解決に向けた取組みを、進めていきましょう。

【参考文献】

「欧州のプラスチック規制はどうなっている? 最新状況を解説!」

(参照)

https://connect.nissha.com/ecosense/molding/blog/european-plastic-regulations/

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